終端抵抗とは?
はじめに
制御盤の配線をしていると「終端抵抗を忘れずに」と言われることがあります。でも、なぜ必要なのか、どこに付けるのか、何Ωにするのか、正確に説明できますか?
終端抵抗の仕組みを理解していないと、通信エラーや誤動作の原因を見つけられません。現場での実例を交えて解説します。
この記事でわかること
✅ 終端抵抗とは何か・なぜ必要か
✅ 信号反射(反射波)のメカニズム
✅ 終端抵抗の設置場所
✅ 抵抗値の選び方(RS-485・CANなど)
✅ 現場でのトラブル事例と対処法
1. 終端抵抗とは?
終端抵抗(ターミネーター)とは、通信ケーブルや電気回路の末端に取り付ける抵抗器です。主な目的は「信号の反射を防いで通信品質を高めること」です。
イメージ:ギターの弦。弦の両端が固定されていると振動が安定するが、端が自由だと振動が乱れる。終端抵抗は「弦の端を適切に固定する役割」をする。
2. 信号反射(反射波)のメカニズム
高速通信では電気信号がケーブル内を「電磁波」として伝わります。ケーブルの末端に何も接続されていないと、信号が末端で反射して戻ってきます(反射波)。
反射波が起きると何が問題か?
- 送信した信号と反射波が重なり、信号が歪む
- 受信側で「0」と「1」の区別がつかなくなる(通信エラー)
- 通信速度が上がるほど反射の影響が大きくなる
終端抵抗を付けると、信号がケーブルの特性インピーダンスと一致した抵抗に吸収されるため、反射が起きません。
3. 終端抵抗の設置場所
鉄則:バス型ネットワークの「両端」に設置する。中間には付けない。
RS-485の場合
RS-485はA線・B線の差動通信方式で、バス型接続が一般的です。バスの両端(最初の機器と最後の機器)に終端抵抗を設置します。
CAN通信の場合
車載・産業用のCAN通信でも同様に、バスの両端に終端抵抗が必要です。多くのCANコントローラには終端抵抗を内蔵・設定できるものもあります。
よくある間違い
- 途中の機器に終端抵抗を付けてしまう(NG)
- 両端に付けず片方だけ(NG)
- スター型配線で終端抵抗を使おうとする(スター型には使えない)
4. 抵抗値の選び方
| 通信規格 | 推奨終端抵抗値 | 備考 |
| RS-485 | 120Ω | ケーブルの特性インピーダンスに合わせる |
| RS-422 | 100Ω〜120Ω | ケーブル仕様確認 |
| CAN | 120Ω | CANバスの両端 |
| PROFIBUS | 390Ω + 220Ω + 390Ω(3点セット) | 専用ターミネーターを使用 |
| Ethernet | 内蔵(不要) | 終端処理済み |
抵抗値の基本は「ケーブルの特性インピーダンスと同じ値」にすることです。RS-485では一般的に120Ωが使われます。
5. 現場でのトラブル事例
事例① 通信エラーが断続的に発生
症状:PLCとインバーターのRS-485通信で、断続的に通信エラーが発生する。
原因:バス末端の終端抵抗が未設置だった。長距離ケーブル(50m超)で反射波の影響が大きく出ていた。
対処:バス両端に120Ωの終端抵抗を設置して解決。
事例② 機器増設後に通信不安定
症状:新たに機器を追加したら通信が不安定になった。
原因:元々バス末端だった機器の終端抵抗を外さず、中間に機器を追加したため終端位置がズレた。
対処:新しいバス末端に終端抵抗を移設して解決。
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まとめ
- 終端抵抗はケーブル末端での信号反射を防ぐ抵抗器
- バス型ネットワークの「両端」に設置するのが原則
- RS-485・CANは120Ωが標準的
- 機器の増設・移設時は終端抵抗の位置を必ず見直す
通信トラブルの原因として終端抵抗の問題は意外と多いです。配線変更時は必ず確認しましょう。

