電気工事士がよく使う「パラ接続」と「シリーズ接続」について

電気回路における配線方法を指しており、それぞれ「並列接続」と「直列接続」のことを意味します。

パラ接続:並列(parallel)接続

シリーズ接続:直列(series)接続

「パラ接続」「シリーズ接続」という言葉、電気工事の現場では日常的に使われますが、意外と正確に説明できない方も多いのではないでしょうか。
この記事でわかること

✅ パラ接続(並列接続)の特徴と現場での使われ方

✅ シリーズ接続(直列接続)の特徴と現場での使われ方

✅ 2つの接続方式の違いと使い分けの判断基準

✅ よくある失敗例と注意ポイント

✅ 電気工事士試験での出題傾向

1. パラ接続(並列接続)とは

「パラ接続」とは、英語のParallel(パラレル)を略した現場用語で、「並列接続」のことです。複数の電気機器や部品を電源に対して並列に接続する方法です。

イメージ:複数の蛇口が同じ水道管につながっている状態。どの蛇口も同じ水圧(電圧)で独立して使える。


パラ接続の3つの特徴

電圧が一定

各機器にかかる電圧は、すべて電源電圧と同じになります。家庭のコンセントが100Vであれば、そこに接続したすべての機器が100Vで動作します。

計算式:V₁ = V₂ = V₃ = 電源電圧

電流が分かれる(オームの法則)

電流は各機器の抵抗値に応じて分かれます。抵抗が小さい機器ほど多くの電流が流れます。

計算式:I合計 = I₁ + I₂ + I₃ (各電流の和)

合成抵抗の計算式:1/R合計 = 1/R₁ + 1/R₂ + 1/R₃

独立性が高い(一つが故障しても他は動く)

1つの機器が断線・故障しても、他の機器への回路は切れないため、残りは動作し続けます。これがパラ接続の最大のメリットです。

現場でのパラ接続の使用例

  • 太陽光パネルの容量増加配線
  • 家庭・工場の照明回路(1つが切れても他は点灯する)
  • コンセント回路(複数機器を独立して使用)
  • 制御盤の表示灯(複数のランプを同じ電圧で点灯)
  • 電動機の複数台運転(各モーターが独立した電圧で動作)

2. シリーズ接続(直列接続)とは


「シリーズ接続」とは、英語のSeries(シリーズ)から来た現場用語で、「直列接続」のことです。電気機器や部品を一本の線上に順番に接続する方法です。
イメージ:川の流れ。水(電流)が順番に各機器を通って流れる。一箇所でも詰まると全体が止まる。

シリーズ接続の3つの特徴

電流が一定

回路を流れる電流は、すべての機器で同じ値になります。電流に「逃げ道」がないためです。

計算式:I₁ = I₂ = I₃ = 回路電流

電圧が分かれる(電圧降下)

電源電圧は各機器の抵抗に応じて分配されます。抵抗が大きい機器ほど、多くの電圧が消費されます。

計算式:V合計 = V₁ + V₂ + V₃ (各電圧降下の和)

合成抵抗の計算式:R合計 = R₁ + R₂ + R₃

依存性が高い(一つが故障すると全体が止まる)

1つの機器が故障・断線すると、回路全体が止まります。これはシリーズ接続のデメリットでもありますが、安全回路では「意図的に」このデメリットを活用します。

現場でのシリーズ接続の使用例

  • LEDの電流制限抵抗:LEDと抵抗を直列にして電流を制御
  • 非常停止(EMO)回路:どこかのEMOを押せば全体を止める
  • ドアインターロック回路:全ドアが閉まらないと起動できない
  • ヒューズ・ブレーカー:直列に入れて過電流を遮断
  • 電池の直列接続:電圧を合計して高電圧を得る(例:乾電池2本で3V)

3. パラ接続 vs シリーズ接続 徹底比較

比較項目パラ接続(並列)シリーズ接続(直列)
電圧各機器で同じ(電源電圧=各機器の電圧)各機器に分配(電圧降下の合計=電源電圧)
電流各機器で分かれる(合計=電源電流)全機器で同じ(電流は一定)
合成抵抗1/R合計 = 1/R₁ + 1/R₂(小さくなる)R合計 = R₁ + R₂(大きくなる)
一つ故障したら他の機器は動き続ける全体が止まる
主な用途照明・コンセント・モーター回路安全回路・ヒューズ・電池の昇圧
現場の呼び方パラ・パラ接続・並列シリーズ・直列・一筆書き

4. 現場での使い分けの判断基準

実際の電気工事では、目的に応じて接続方式を選びます。以下の判断基準を参考にしてください。

現場の鉄則:「安全を確保したいならシリーズ、独立性を確保したいならパラ」

パラ接続を選ぶとき

  • 複数の機器を同じ電圧で動かしたいとき
  • 一部の機器が故障しても他を動かし続けたいとき
  • 容量(電流)を増やしたいとき(電池のパラ接続など)
  • 家庭・工場の一般的な電灯・動力回路

シリーズ接続を選ぶとき

  • 安全回路・インターロック回路(全条件が揃わないと動かない)
  • 電圧を上げたいとき(電池の直列接続)
  • 電流を制限・制御したいとき(抵抗との直列接続)
  • どこかの条件が満たされなければ全体を止めるとき

5. よくある失敗と注意ポイント

失敗① 電圧の異なる機器をパラ接続してしまう

パラ接続では全機器に同じ電圧がかかります。定格電圧の違う機器を並列につなぐと、低電圧の機器が過電圧で壊れます。

例:100V機器と200V機器を200V電源でパラ接続 → 100V機器が焼損!

失敗② 非常停止回路をパラ接続にしてしまう

非常停止ボタンを並列につないでしまうと、1つのボタンを押しても回路が切れません(別ルートで電流が流れ続ける)。非常停止は必ずシリーズ接続にします。

失敗③ シリーズ接続で電圧降下を計算し忘れる

複数の機器を直列につなぐと、各機器の電圧は電源電圧より低くなります。照明や機器の定格電圧を確認せずに直列つなぎをすると、動作不良が起きます。

6. 電気工事士試験での出題ポイント

第二種・第一種電気工事士の試験では、並列・直列回路の計算問題が頻出です。

よく出る計算パターン

  • 並列回路の合成抵抗:1/R = 1/R₁ + 1/R₂
  • 直列回路の電圧降下:V = IR(オームの法則)
  • 並列回路の電流分配:各枝の電流 = 電圧 ÷ 各抵抗
  • 直並列混合回路の合成抵抗

試験問題の解き方のコツ

① まず回路図を見て「直列部分」と「並列部分」を分ける

② 並列部分の合成抵抗を先に計算する

③ 全体を直列回路として合成抵抗を求める

④ オームの法則(V=IR)で電流・電圧を求める

まとめ

  • パラ接続(並列接続):電圧が一定、電流が分かれる。独立性が高く、一般回路に多用される
  • シリーズ接続(直列接続):電流が一定、電圧が分かれる。全体連動が必要な安全回路に使われる
  • 使い分けの鉄則:安全確保 → シリーズ、独立動作 → パラ
  • 試験では合成抵抗の計算とオームの法則が頻出

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