高圧CVケーブルの接地について

はじめに

高圧CVケーブルの接地は、低圧配線に慣れた技術者が戸惑いやすいポイントのひとつです。「遮蔽層の接地はどこにする?片端?両端?」という疑問を持ったことはありませんか?

高圧CVケーブルの接地を誤ると、感電事故・絶縁劣化・ケーブル損傷につながります。現場経験をもとに正しい接地方法を解説します。

この記事でわかること

✅ 高圧CVケーブルの構造と遮蔽層の役割

✅ 遮蔽層を接地する理由

✅ 片端接地と両端接地の使い分け

✅ 誘導障害とシース電流の問題

✅ 現場での施工ポイント

1. 高圧CVケーブルの構造

高圧CV(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース)ケーブルは、以下の層で構成されています。

層(外側から)名称材質役割
最外層外装(シース)ビニル(PVC)機械的保護・防湿
その内側遮蔽層(シールド)銅テープ・銅線電界遮蔽・接地経路
さらに内側半導電層半導電性ポリエチレン電界集中の緩和
絶縁層絶縁体架橋ポリエチレン(XLPE)高電圧に対する絶縁
最内層導体銅より線電流の通路

2. 遮蔽層を接地する理由

感電防止

高圧回路では、ケーブルが完全に絶縁されていても静電誘導により遮蔽層に電圧が誘起されます。接地していないと遮蔽層が危険な電位になることがあります。接地することで遮蔽層を大地電位(0V)に固定し、触れても感電しないようにします。

電界遮蔽(シールド効果)

高電圧の導体周囲には強い電界が発生します。遮蔽層を接地することで電界をケーブル内部に閉じ込め、外部への電界漏れ(電磁障害)を防ぎます。

地絡電流の帰路

地絡(絶縁破壊による事故)が発生した場合、接地された遮蔽層が地絡電流の帰路となり、保護リレーが確実に動作できるようになります。

3. 片端接地と両端接地の使い分け

接地方式特徴適した用途注意点
片端接地一方端のみ接地、他方は未接地(絶縁処理)短距離・中距離ケーブル未接地端の電圧上昇に注意
両端接地両端を接地長距離ケーブルシース電流(循環電流)が流れる

片端接地の特徴

遮蔽層の片方端のみ接地する方法です。接地していない側はシース誘起電圧が発生しますが、循環電流(シース電流)は流れないため損失が少ないです。

両端接地の特徴

遮蔽層の両端を接地する方法です。誘起電圧の問題は解消されますが、遮蔽層を通じて循環電流(シース電流)が流れ、ケーブルの発熱・損失が増加します。長距離ケーブルでは両端接地が一般的です。

4. シース電流(誘導電流)の問題

高圧ケーブルの遮蔽層を両端接地すると、導体電流の変化に伴い遮蔽層に誘導電流(シース電流)が流れます。

  • シース電流による発熱でケーブル許容電流が低下する
  • 長距離・大電流ケーブルでは無視できない損失が生じる
  • クロスボンド接地(交差接地)でシース電流を抑制できる

5. 現場での施工ポイント

接地線の選定

遮蔽層の接地線は、地絡電流に耐えられる断面積を選定します。一般的に14mm²以上が使われますが、保護協調の計算で確認してください。

接地端末処理

未接地端の遮蔽層は、確実に絶縁処理(絶縁テープ・キャップ)を施してください。処理が不十分だと、誘起電圧により感電事故が起きる可能性があります。

施工前の確認事項

  • ケーブル仕様書で遮蔽層の定格電流を確認する
  • 接地方式(片端・両端)を設計図書で確認する
  • 接地抵抗値が規定内であることを確認する(10Ω以下が一般的)
  • 施工後は絶縁抵抗測定で絶縁が確保されていることを確認する

まとめ

  • 高圧CVケーブルの遮蔽層は感電防止・電界遮蔽・地絡電流帰路の3つの役割がある
  • 接地方式は片端接地と両端接地があり、ケーブル長・用途で使い分ける
  • 両端接地ではシース電流による発熱・損失が発生する点に注意
  • 未接地端は必ず絶縁処理を行う

高圧CVケーブルの接地は安全と信頼性に直結します。設計図書と規程を必ず確認した上で施工してください。

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