製造業だと大卒が不利で、高専卒が有利!?

私の前職では、大卒は扱いにくいと言われたことがあります。現場スキルに限った話なのですが、私も高専卒の人が優秀だと感じることが多々ありましたので、まとめました。

1. 実践的なスキルがあり即戦力になる。

高専卒の最大の強みは、何と言ってもその実践的なスキルです。高専の5年間のカリキュラムは、座学だけでなく実験や実習に重きを置いており、卒業時には工具の扱いからCAD設計、簡単なプログラムまで一通りの技術を身につけています。私の前職はラインのトラブル対応や設備のメンテナンスに、

現場のベテラン社員からは「高専卒は手が動く。大卒は頭が動くけど時間がかかる」とよく言われていました。確かに、大卒は理論的な知識が豊富で長期的な視点での改善提案には強みを発揮しますが、現場での即戦力を求める企業にとって、高専卒の「使える技術」は魅力でした。

2. 若くて素直。

高専卒は20歳で卒業し、大卒(22歳)より2年早く社会に出ます。この2年の差は社会人にとって想像以上に大きく一人前になれる期間です。一方で大卒は、大学での自由な生活や研究に慣れた後で社会人としての規律に慣れるのに時間がかかるケースが多かったように思います。さらに、高専卒は若いうちから厳しい実習を経験しているせいか、上司の指示に対しても素直に従い、学ぶ姿勢が強い傾向がありました。例えば、あるプロジェクトで急な残業が必要になった時、高専卒の若手は「こういう経験も技術を磨くチャンス」と前向きに取り組んでいましたが、大卒の一部は「残業代が出るなら」と条件付きで渋々応じる態度を見せていました。この「若くて素直」という特性は、特に製造業のような上下関係が明確な現場では、重宝される要素だったのです。

3. 日本はジョブ型雇用になりつつある。

近年、日本の雇用形態が欧米型の「ジョブ型」にシフトしつつあることも、高専卒が注目される背景にあります。私の前職でも、管理職を外部に委託するケースが増えてきました。従来の日本企業では、大卒を総合職として採用し、時間をかけて管理職に育て上げる年功序列的なモデルが主流でした。しかし、グローバル競争が激化する中で、企業は「必要なスキルを持った人材を必要なタイミングで配置する」という考え方に変わりつつあります。この流れの中で、高専卒は明確な技術職としての役割を果たしやすく、ジョブ型雇用のニーズにマッチしているのです。例えば、私のいた会社では、生産ラインの効率化プロジェクトで外部からマネージャーを招き、現場の技術者は高専卒中心で構成されました。大卒が企画や管理職を目指すキャリアパスを歩む一方、高専卒は「技術のスペシャリスト」として現場で輝く役割が与えられていました。ジョブ型雇用が進めば、学歴よりも「何ができるか」が重視される時代になり、高専卒の価値はさらに高まるかもしれません。

まとめ

製造業の現場では、大卒よりも高専卒の方が求められる場面が多くあります。実践的なスキルを持ち、即戦力になれること。若くて柔軟に学び、現場に順応しやすいこと。そして、ジョブ型雇用の流れの中で、技術のスペシャリストとしての役割を果たせること。このような要素が、高専卒の価値を高めているのです。

もちろん、大卒には大卒の強みがありますが、企業のニーズに合わせて求められる人材像も変化していきます。これからの時代、「どの学歴か」よりも「何ができるか」がより重要になってきます。