高圧CVケーブルの接地について

高圧CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)の構造には「遮蔽層」と呼ばれる重要な層があり、ケーブルの性能と安全性を支えています。この遮蔽層の役割を果たすには、適切な接地が不可欠です。しかし低圧配線をしている人にとって遮蔽層はノイズを抑えるものという認識しかないので、この記事では、遮蔽層の目的とその重要性について詳しく解説します。

1. 安全性の確保:感電や放電事故を防ぐ

遮蔽層の最も重要な役割の一つは、ケーブル表面の電位を接地電位に近づけることで、感電や放電事故を防止することです。接地しない場合、導体と遮蔽層、遮蔽層と対地間の静電容量から印加電圧Vは\(C_1\)、\(C_2\)によって分圧されて、遮蔽層の電圧\(V_2\)は
\(V_2=\frac{C_1}{C_1+C_2}V\)

一般に、\(C_1\gg C_2\)​であるため、以下のようになります。

\(V_2 \simeq \frac{C_1}{C_1}V=V\)

つまり、遮蔽層が接地されていない場合、遮蔽層の電圧\(V_2\)は印加電圧\(V\)とほぼ同じ値になるので、ケーブル表面に危険な高電圧が発生する可能性があります。これにより、作業者や周辺機器が重大な危険にさらされます。適切な接地によって、このリスクを大幅に軽減できるのです。

2. 信号干渉の抑制:電力伝送の安定性を高める

遮蔽層は、ケーブルから外部への電磁波の放射を抑える役割も担います。これにより、他の電気機器や通信線への電磁干渉を防ぎ、電力伝送の安定性と信頼性を向上させます。例えば、通信ケーブルが近くにある場合、遮蔽層がないと電力ケーブルからのノイズが通信品質を低下させる恐れがあります。遮蔽層は、こうした問題を未然に防ぐ「電磁シールド」として機能し、現代の複雑なインフラ環境での円滑な運用を支えます。

遮蔽層は、内部半導電層と外部半導電層から構成され、ケーブル内部の電界を均一に保ちます。これにより、電界の局所的な集中を防ぎ、絶縁体の劣化や絶縁破壊のリスクを低減します。また、外部半導電層は外部からの電磁干渉を遮断し、絶縁体を保護します。これにより、ケーブルは長期間にわたり安定した性能を発揮し、電力供給の信頼性が向上します。

3. 電界の均一化と絶縁保護:ケーブルの長寿命化

遮蔽層は、内部半導電層と外部半導電層から構成され、ケーブル内部の電界を均一に保ちます。これにより、電界の局所的な集中を防ぎ、絶縁体の劣化や絶縁破壊のリスクを低減します。また、外部半導電層は外部からの電磁干渉を遮断し、絶縁体を保護します。これにより、ケーブルは長期間にわたり安定した性能を発揮し、電力供給の信頼性が向上します。

接地の方法:片端接地と両端接地の使い分け

遮蔽層の効果を最大限に引き出すには、適切な接地方法が重要です。一般的に、高圧CVケーブルでは片端接地が採用されます。具体的には、屋内側のケーブル終端で接地し、屋外側は絶縁処理を行います。この方法は、遮蔽層に流れる電流を制御し、不要な電圧上昇を防ぐのに有効です。

しかし、ケーブル長が長い場合には、ケーブルに流れる電流の電磁誘導作用により、遮蔽層に誘起電圧が発生しやすくなります。この場合、誘起電圧を抑えるために両端接地が採用されることがあります。両端接地は電圧を効果的に逃がす一方、循環電流が発生する可能性があるため、設計時には慎重な検討が必要です。

まとめ:遮蔽層がもたらすメリット

高圧CVケーブルの遮蔽層は、適切に接地されることで以下のようなメリットをもたらします。

  • 人体への危険防止:感電や放電事故のリスクを最小限に抑える。
  • 通信障害の防止:電磁干渉を抑え、通信線の安定性を確保。
  • 絶縁体の保護:電界を均一化し、ケーブルの劣化を防ぐ。
  • 電力供給の信頼性向上:安定した電力伝送を実現。

低圧配線をしている人にとって遮蔽層は、ノイズを抑えるものという認識しかないですが、電力インフラの安全性と効率性を支える「縁の下の力持ち」です。私たちの生活を支える電力供給の安定性を守るためにも、遮蔽層の役割とそのメンテナンスの重要性を理解しておきましょう。

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